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不動産評価額の調べ方・計算方法

不動産評価額の調べ方・計算方法

2024/09/27

冒頭で述べたように、不動産を評価する方法はいくつかあり、評価の目的や基準によって多様な評価額があります。

仮に不動産の売り出し価格を検討するなら、相続税を計算するための相続税評価額より実際の取引で形成された実勢価格のほうが有用です。

状況にあった不動産評価額を参考にできるよう、次章では各不動産評価額がどのようなものかを解説します。

不動産評価額の種類は、以下の表のとおりです。

不動産評価額の種類
  実勢価格 基準地の
標準価格
公示地価 固定資産税
評価額
相続税
評価額
不動産
鑑定評価額
主体 売買当事者 都道府県 国土交通省 市町村(東京23区は東京都) 国税局 不動産鑑定士
対象 土地
建物
土地 土地 土地
建物
土地
建物
土地
建物
価格時点 7月1日 1月1日 1月1日 1月1日
公表時期 9月下旬 3月下旬 4月1日から 7月1日ごろ
確認方法 不動産情報ライブラリ ・不動産情報ライブラリ
・全国地価マップ
・不動産情報ライブラリ
・全国地価マップ
・市区町村
・全国地価マップ
・国税庁ホームページ
・全国地価マップ
・不動産鑑定士に鑑定を依頼
用途 ・売買価格 ・売買価格 ・売買価格 ・固定資産税
・都市計画税
・不動産取得税
・登録免許税
・相続税 ・地価公示
・売買価格
・相続財産の評価
・融資時の担保評価

それぞれの不動産評価額が何のためにあるのか、何を示しているのかを解説します。状況に応じて、どの評価額を参考にすればよいかを把握しましょう。

実勢価格(時価)

実勢価格とは、実際に不動産が売買された価格です。「不動産がいくらで売れそうか」などを検討する際に役立ちます。

しかし、実際に売買された価格とはいえ、全く同じ不動産取引はありません。立地や建物の構造・グレード、性能、築年数はもちろん、取引時期や売買当事者の事情も価格に影響します。

そのため、できるかぎり取引条件が似ている実勢価格(売買実例価額)を探すことが大切です。

相続税の路線価(相続税評価額)

相続税評価額とは、相続税の申告時に、取得した相続財産を評価した金額です。本来は納税者自身が評価しますが、実際にはそれは容易ではないことから、通常は国税庁が各国税局長に発した財産評価基本通達に沿って評価します。

土地を評価する際の相続税路線価は、毎年1月1日を基準に、公示地価などの80%を目途に国税局長が路線ごとに設定します。

2 路線価等は、1月1日を評価時点として、1年間の地価変動などを考慮し、公示地価等を基にした価格の80%程度を目途に定めています。

引用元:令和6年分の路線価等について|国税庁

建物の相続税評価額は、後述する固定資産税評価額と同じです。

固定資産税の路線価(固定資産税評価額)

固定資産税評価額とは、固定資産税を賦課するために市町村(東京23区は東京都)が決定し、課税台帳に登録した価格です。

固定資産税評価額は、毎年1月1日を基準に、宅地については公示地価などの70%を目途として3月31日までに市町村が決定します。

固定資産税評価額は、不動産取得税や登録免許税の計算にも用いられます。

公示地価(地価公示価格)

公示地価とは、2人以上の不動産鑑定士が評価して3月に国土交通省土地鑑定委員会が公示する、1月1日時点の標準地1平方メートル当たりの正常な価格です。

税金を計算するためではなく、土地取引価格の指標として政府が公表しています。公示地価は不動産鑑定価格の規準でもあり、相続税路線価や固定資産税路線価にも影響を及ぼす重要な価格です。

基準地の標準価格(基準地価格)

基準地の標準価格とは、1人以上の不動産鑑定士が評価して9月下旬ごろに都道府県知事が公表する、7月1日時点の標準値1平方メートル当たりの標準価格です。

公示地価と同様の価格で、公示地価を補完する役割があります。

不動産鑑定評価額

不動産鑑定評価額とは、不動産鑑定士が不動産の経済価値を評価した価格です。不動産鑑定士は国家資格であり、公示地価や基準地の標準価格を決めるうえで欠かせない存在です。

法的トラブルが生じた際や企業会計、不動産証券化、融資時の担保評価など、多様な場面で不動産鑑定評価額が重用されています。

不動産売買における不動産評価額の調べ方は、以下のとおりです。

  • 不動産会社に調べてもらう
  • 自分で実勢価格から調べる
  • 自分で路線価から調べる
  • 自分で公示地価・基準地の標準価格から調べる
  • 不動産鑑定士に調べてもらう

上記のうち、不動産売買で一般的であり、欠かせないものは不動産会社に調べてもらう方法です。ほかの方法も参考になるため、ご自身で計算できるよう詳しく紹介します。

1)不動産会社に調べてもらう

不動産を売る際、一般的には不動産会社に「いくらで売れそうか」を調べてもらいます。いわゆる不動産会社への査定依頼のことです。

不動産会社の査定方法には、大きく分けて机上査定(簡易査定)と訪問査定(詳細査定)があります。豊富な情報でより詳しく査定できる方法は、訪問査定です。

具体的な査定基準や方法は不動産会社によって異なりますが、例えば、取引事例比較法や原価法などが用いられます。

個人で不動産会社のように評価するのは難しいため、不動産会社に査定を依頼するのがおすすめです。査定依頼は無料です。

2)自分で実勢価格から調べる

不動産会社に査定を依頼しつつ、ご自身で実勢価格を調べることも有効です。実勢価格を調べるには、不動産情報ライブラリの不動産価格情報の検索・ダウンロードページにアクセスします。

地域や価格情報区分、種類、時期を選択し、「ダウンロード」か「一覧表示」を選択しましょう。表示・ダウンロードした後は、土地の面積や建物の延床面積、建築年などの情報で絞り込みや並び替えができます。

売却する物件と似た条件の事例があると、「いくらで売れそうか」の参考になります。

3)自分で路線価から調べる

本来は税金の計算に使う路線価ですが、土地売買価格の大まかな目安を把握するために使用する場合もあります。公示地価などに対し、相続税路線価は80%、固定資産税路線価は70%が目途です。

そのため、公示地価の目安は、固定資産税評価額(路線価)から以下のように求められます。

公示地価の目安 = 土地の固定資産税評価額 ( 路線価 × 地積 ) ÷ 0.7

仮に固定資産税路線価が50,000円/平方メートルで敷地面積が150平方メートルなら、公示地価の目安は約1,071万円です。

しかし、固定資産税評価額(路線価)から求めた売却相場と実際の売買価格には差があると考えられています。上式で求めた公示地価(の目安)は自由な取引において通常成立すると認められる価格ですが、以下のような個別要素で売買価格は変動するためです。

  • 接道面
  • 接道方位
  • 間口の長さ
  • 奥行の長さ
  • 形状(長方形か不整形地かなど)
  • 取引当事者の売り急ぎ、買い焦り

したがって、個人が路線価や固定資産税評価額から調べるより、不動産会社への査定依頼をおすすめします。

参照:地価公示法第2条第2項

4)自分で公示地価・基準地の標準価格から調べる

公示地価と基準地の標準価格は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」などから確認できます。

ある地点の公示地価が63,600円/平方メートルだった場合、地積が150平方メートルなら954万円です。

ただし、公示地価・標準価格は特定の土地の価格であり、実際に売却の対象となる土地の価格ではありません。そのため、位置関係や環境などの諸要因を比較しながら取引価格を決めることが大切です。

5)不動産鑑定士に調べてもらう

買主と売主の双方が、より納得できる価格で取引をしたい場合は、不動産鑑定士に評価額を調べてもらう方法があります。

不動産鑑定士は、公示地価や基準地の標準価格といった公的評価も手掛ける不動産評価のプロです。20万円以上の費用がかかるケースも少なくありませんが、客観的に妥当な価格での取引を強く希望する場合、検討の価値があります。

不動産の売却を目的とするのではなく、相続税や贈与税を算出するために不動産評価額を知りたい際は、相続税評価額を計算します。

具体的な種類や状況などで詳細は異なりますが、財産評価基本通達での評価方法をシンプルに示すと以下のとおりです。

相続税評価額の計算方法
種類 評価
土地
(路線価地域の宅地)
相続税路線価 × 補正率 × 地積
建物
(家屋)
固定資産税評価額 × 倍率 (1.0)

居住用の区分所有財産、いわゆる分譲マンションの場合は、土地と建物の各部分の使用状況を勘案した価額に、区分所有補正率をかけることで評価されます。

相続税路線価は毎年7月1日ごろに公表されており、国税庁ホームページで確認できます。

仮に普通住宅地区で路線価50,000円/平方メートルの1路線に面し、奥行距離が10m(奥行価格補正率1.0)で地積が150平方メートルの場合、土地の相続税評価額は750万円です。奥行価格補正率は、国税庁ホームページにある奥行価格補正率表で確認できます。

建物(家屋)の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じです。

参照:「居住用の区分所有財産」の評価が変わりました|国税庁

固定資産税を算出する際は、固定資産税評価額が使われます。

固定資産税評価額は、総務大臣が定める固定資産評価基準により、3月31日までに市町村長が決定します。具体的な種類や状況などで詳細は異なりますが、固定資産評価基準での評価方法をシンプルに示すと以下のとおりです。

固定資産税評価額の計算方法
種類 評価
土地
(市街地宅地)
固定資産税路線価 × 補正率 × 地積
建物
(木造家屋の場合)
再建築費評点数 × 経年減点補正率 × 評点1点当たりの価額

土地と建物とに分けて、固定資産税評価の仕組みを解説します。

土地

土地の固定資産税評価は、地目ごとに計算方法が異なります。宅地の場合、以下の式のとおり路線価に画地計算法を適用した額です。

固定資産税路線価 × 補正率 × 地積

固定資産税路線価は、一般財団法人資産評価システム研究センターの全国地価マップから確認できます。ただし、全国地価マップは最新の情報ではない可能性もあるため、正確を期すなら市区町村の窓口での確認がおすすめです。

補正率は、敷地の奥行の長さ、接している路面の数などに応じて定められているもので、詳細は固定資産評価基準から確認できます。例えば、奥行が短すぎる・長すぎると減額方向、角地だと増額方向に補正します。

以下条件の土地だと、固定資産税評価額は750万円です。

  • 普通住宅地区
  • 地積150平方メートル
  • 路線価50,000円/平方メートル
  • 1路線に面する
  • 奥行距離は10m

路線価は異なるものの、求め方は補正率(調整率)を含めて相続税評価額とほぼ同様です。

建物(木造家屋の場合)

建物の固定資産税評価額は、木造家屋の場合、おおむね建築工事費に応じた金額です。延床面積が広いほど高くなります。

具体的な評価方法は、部分別に使用素材や施工方法を確認して延床面積などに応じた再建築費評点数を求め、築年数に応じた補正率を乗じるなど複雑です。例えば、「外壁仕上げ」がサイディングなら標準評点数9,770、外装タイルなら標準評点数14,470で、平面形状に凹凸が多ければ増点補正します。

また、こちらで紹介した木造家屋のケースはあくまで一例です。固定資産税評価額は、建物の種類や形状、造り、部屋数や階数などをはじめとしたさまざまな情報を元に計算されます。

個別の評価基準・計算方法を詳しく把握したい方は、固定資産評価基準で確認してください。

固定資産税評価額は、固定資産評価(補助)員の実地調査による評価をもとに市町村長が決定するため、決定後にはじめて把握できます。決定された固定資産税評価額は、交付される固定資産税の納税通知書・課税明細書の「価格」欄で確認しましょう。

離婚時の財産分与や生前贈与に際して、不動産評価額の把握が必要なケースもあります。財産分与・生前贈与それぞれについて、不動産評価額の調べ方や計算方法を解説します。

財産分与

財産分与とは、夫婦が協力して取得・形成した財産を離婚後に清算する制度です。離婚後、元妻や元夫の生計維持をはかることも目的とされています。

財産分与では不動産に住み続ける側が他方に不動産の価格の半額を分与することがあるため、いくら分与するかの前提に不動産評価額が必要です。不動産評価額は夫婦の話し合いで決めますが、話し合いがまとまらない場合は時価によるべきとされています。

しかし、時価の計算方法に決まったものはありません。建物を含む場合、参考にできるのは実勢価格か固定資産税・相続税の評価額、不動産鑑定評価額です。

固定資産税・相続税の評価額は、評価基準時が離婚時とは限らない点などに問題があります。その点、不動産鑑定評価額なら、費用はかかりますが、評価基準を離婚時に設定でき、国家資格に基づく客観性・公平性の高さもあるので理想的でしょう。

生前贈与

不動産を生前贈与すると、贈与を受けた側に贈与税と不動産取得税、登録免許税が発生する場合があります。

贈与税は相続税評価額、不動産取得税と登録免許税は固定資産税評価額をもとに計算します。固定資産税評価額は、課税明細書で確認しましょう。

相続税評価額は、土地はおおむね「相続税路線価 × 補正率 × 地積」で計算できます。建物の相続税評価額は固定資産税評価額と同じです。

相続時の遺産分割、遺留分などの問題に際し、不動産の評価額を裁判・調停で争うケースも少なくありません。

しかし、財産分与と同様、裁判などで争う際に不動産評価額の決まった計算方法はありません。なお、調停では、当事者の合意があれば合意した評価方法で自由に不動産評価額を決められます。

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」や不動産会社の査定、不動産鑑定士の鑑定など、状況に応じて不動産評価額を調べましょう。

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